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2012年2月 5日 (日)

『北の無人駅から』(渡辺一史)

20120206_01

この本は、北海道の6つの無人駅から始まるノンフィクションである。
駅周辺の歴史を紐解き、その地に関わりのある人々へのインタビューを重ねる。
全体を通じて見えてくるものは、開拓の過酷さと、それを生き抜いた人々の強さ。
観光客の視点では決して得られない「真の北海道」を垣間みるようで、一気に読み終えた。

全7章のなかでも、奥白滝駅の章が特にすばらしい。
現在は定住者もなく、自然に還りつつある奥白滝駅だが、かつては活況を極めたという。
白滝村住民のインタビューを重ねつつ、その歴史を丹念に振り返る。
しかし場面は一変し、白滝村が町村合併で消滅した日に移る。
ここからの展開が凄まじい。
人口1,200人足らずの村を揺るがした合併の経緯を追うことで、地方自治とは何かを問う。
住民へのインタビューを通じて見える意見の対立。時間もさほど経っていないゆえか記憶も鮮明で実に生々しい。単純な二元論では割り切れない矛盾を丁寧にあぶり出していく展開に、思わず息を呑んだ。

北海道が好きな人はもちろん、誰でも広くお勧めしたい。

ただ一つ残念なのは、この本が鉄道書コーナーに並んでいたこと。
タイトルが原因であろうが、鉄道ファンだけのものにするのはあまりに惜しい。

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